本サイトの英和対訳は、出来るだけ長文にならないように、前から、しかも日本語として不自然にならないように訳しています。
日本語と英語は、相性がとても悪く、語順はほぼ反対と言っていいでしょう。ですから教科書通りに訳すると、とても長文になってしまいます。
例えば、
I might go shopping for clothes at Aeon Mall with her sister this afternoon.
「彼女は今日の午後、姉とイオンモールに服を買いに出かけるかもしれません。」
と、とても長くなってしまいます。
英語は大事なところ(動詞、助動詞)をいち早く言い、日本語は一番最後に言う、といった真逆の文の構成になっています。
つまり和訳は動詞(助動詞)が最後にあるので、日本語を最後まで聞かないと、きれいに英語を訳せないのです。
「・・・かもしれません。」と、最後まで聞いて初めて整った和訳が出来るのです。
特徴としては、英語は言いたいこと(動詞)をいち早く言い、あとから補足説明をする、といった感じで、日本語はもったいぶって聞き手を引き付けておき、最後にまとめる、といった感じです。
同時通訳者が時々、崩れた日本語を話したり、急に早口になったりするのは、英文を最後まで聞かずに、前から区切って訳しているからだと推測できます。
本サイトにアップロードしている「トランプ大統領の就任演説」を同時通訳者が訳した例をあげてみます。
冒頭のところを見てみましょう。
We, the citizens of America, are now joined in a great national effort to rebuild our country and to restore its promise for all of our people.
教科書通りの翻訳は次のようになります。
「私たちアメリカ市民は今、この国を再建し、国民全員への約束を復活させるため、大いなる国家的事業に取り組むべく団結しています。
同じ個所を同時通訳者はこれを、
「私どもアメリカ国民は、この度」「国の努力の一員になります。」「我々の国民のためにです。」「一緒にアメリカの道を作っていきます。」
と、前から区切って訳していることが分かります。
変な日本語であり、誤訳があり、訳せなかった単語がありますが、真意は大体伝わります。同時通訳でなければ、彼らはきれいな日本語に訳することは容易でしょう。
ですが、同時通訳(ライブ)となると、全部聞いてから訳すと、話はどんどん進んでいきますから間に合わなくなり、言葉がついて行けません。
同時通訳は、このように訳するしかなく、それはそれでいいのです。
よく「英語で考えよ」と言われますが、それはこうした英語と日本語の相性の悪さから生じる翻訳プロセスが非効率だからなのでしょう。
同時通訳者はもちろん、英語で考えることができますが、わざわざ非効率な翻訳のプロセスと組み立てに頭を使っているのです。
英訳の場合は、主語+動詞(助動詞)から訳すことで、理解していきます。
和英の場合は、前置詞に相当する部分から訳していくのでしょう。
長文も短文の集合体と考える訳です。
冒頭の例であれば、
①She might go shopping
②for clothes
③at Aeon Mall with her sister
④this afternoon.
と分けるのがいいでしょう。
頭の中で
①彼女は出かけるかもしれない。
②服を買いに。
③姉とイオンモールに。
④今日の午後。
と日本語が整列されていませんが、相手が言っている間に、頭の中で和訳(理解)する過程は、これで十分です。
少しきれいにしたければ、
①彼女が出かけるかもしれないのは、
②服を買う為で、
③一緒に姉とイオンモールへです。
④今日の午後
ポイントは通常、前置詞の前までを一区切りにすることです。
慣れてきたら、少しづづ一区切りを長くしていけば、日本語として整ってきます。
関係代名詞がある文では、関係代名詞の前で区切り、
whoであれば、「その人は・・・」
whoseであれば、「その・・・」
whomであれば、「その人・・・」
と付け加えていきます。
慣用句も、
I wonder if-
などは、「・・・かどうか分からない」まとめずに
「分からないけど、多分・・・」とするといいでしょう。
要するに実践英会話では、頭の中できれいに翻訳する必要もなく、翻訳するとしても日本語として整える必要はないのです。
教科書通りの英訳をすることをやめて、前からどんどん訳して(理解して)いくことが、実践英語では大切になってきます。