「英語を克服した私が、もし過去の初心者に戻ったら、私はこういう勉強法をするだろう。」 執筆者【英国在住。通訳、翻訳家 yumiさん】

私は中学に入学して英語を勉強するようになってすぐ「外国語の学習って楽しい!」と思いました。初めは単語や教科書の文を繰り返しノートに書く宿題程度でしたが、徐々に英語を覚えるということ自体が嬉しくて、お小遣いで購入した簡単な英会話の本の中から日常会話でよく使う表現を抜き出しては何度もノートに書いていました。これが私の英語学習への興味の原点でした。

英語が得意科目だった中学時代を過ぎ、高校に入学して早速最初の壁にぶつかりました。英文法が難しい。授業もよく分からないしテストの点も悪い。ついていけないから楽しくない。当然予習復習もする気がなくなる。初めての挫折で2年間はこんな状態でしたが、大学受験を意識した時に、基本が理解できていないとその後どれだけ断片的に勉強しても理解の程度に影響するのが分かり、英文法の教科書を初めからしっかり復習して理解しました。

すると、授業内容や参考書の説明は面白いように分かり、受験勉強用の問題集も、どんどん解けるようになりました。何故学校の授業にまで遡るのかには明確な理由があります。当時は全く気付いていなかったのですが、受験対策だけだと言われることもある学校の授業で習う英語が後の英語学習に大いに役立ったのです。

「受験英語ではなくて実際に使える英語を!」とはよく聞くフレーズですが、バイリンガルとなった今振り返ると、英文法を基礎からしっかり理解し、構文を覚えて語彙数の増強をするという、いわゆる「学校の英語の勉強」をなくしてコミュニケーションに使える英語が上達したとは思えません。

私にとって効率の良かった学習法のうち、初心者におすすめしたいのが、とにかくたくさんの英語を聞くことです。もちろん、たくさん読んでたくさん書くことも同様に大切ですが、初心者には特に聞くことが大切なポイントだと思います。単語レベルでも文章でも会話でもとにかく聞くことです。たとえ新しい単語を目で見て綴りやその意味を覚えても、実際にどう発音されるのか分からないのでは会話内(文章の中)で使われていても聞き取れないのです。

例えば単語を目で見て覚える時、声に出さないとしても頭の中で自然にその単語を唱えていると思いますが、この時に正しい発音を聞くことができないと、英語の発音とは異なるローマ字読みやカタカナで覚えてしまうことになるのです。

それを防ぐためにも、たくさんの英語を聞くこと、聞く環境を自分で作り出すことが効果的です。私はNHKのラジオ講座を毎日録音して繰り返し聞いていました。放送は毎日あるので当然翌日までの間の期間限定で繰り返し聞くことになるのですが、これが効果絶大でした。

同じものを繰り返すことにより、その時覚えた単語がどう聞こえるのかを徹底的に覚えることができたからです。毎日NHKの講座を聞くのは忙しい人には時間的にも無理があるかもしれません。たまたま私はNHK講座でしたが、同じ効果を期待する点でCDやDVDなどの音声の教材を繰り返し聞くことは大いに役立つと思います。日常会話や旅行会話など簡単なものから初めて、慣れて来たら徐々にドラマや映画、更にニュースやスピーチを取り扱った教材を使うようにステップアップしていくといいでしょう。

逆に効率が悪く、絶対におすすめしないのは、英単語の上にカタカナで発音が書かれている参考書を使うことです。基本的に、日本語と英語は全く別の言語であり使われる音も根本的に違うので、カタカナで英語の発音を覚えようとすると実際に英語の発音が上達しないのは言うまでもなく、筆談なら伝わるのに口頭では伝わらないということになりかねません。

また、一旦カタカナの音として覚えてしまうと、なかなか英語の発音に矯正できないという点でも、日本語と英語を混同しない方が効果的だと思います。発音を上達させる効果的な方法は詳しく説明しないと意味がないのでここでは触れませんが、私自身も初心者の頃にカタカナが使われた参考書を便利だと思い込んで使用していた経験があるので、いくら便利であろうと是非この点は注意を促したいところです。

とにかく多くの時間を費やして独学で英語を学習した私ですが、今もし過去の初心者の頃に戻ったとしたら、2つのポイントを絶対に外さない学習方法に専念すると思います。

まずは毎日英語を聞く環境を作ること。効果的な学習法で説明したように、新しく単語を覚える時でも最初から発音も合わせて習得することは極めて効果的です。

次に、英文法を基礎からしっかり理解すること。私が英語学習で挫折した時の原因が冒頭で書いたとおり英文法でつまずいたことでした。挫折は英語学習者なら誰にでもあることですが、特に初心者の頃はモチベーションにも影響してしまいます。だからこそ「自然な英語で話したい!」という願望とは離れたイメージのある英文法の学習にも重点を置きたいです。結局自然な英語で話せるようになるために、また、自分で思い通りの意思の疎通を図れるようになるためには英文法が理解できていることが絶対条件なのです。

英語を使いこなすには、語彙力をつけ、伝えたいことが確実に伝わるように適切な語句や文で発信する必要があります。効果的な学習法で自分の思いを伝えられる英語のスキルを習得すると必ず世界が広がります。

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