「映画で学ぶ英会話」のコンテンツ(教材)制作を始めてから、かなりの年月が経過しましたが、その効果を改めて考えてみると、いくつかの改良が必要と感じるに至りました。
その一つが、フレーズ(言い回し)の「反復学習」の学習法です。
リスニングをする際、聞き取れない箇所は、何回も繰り返し聞き、音読(マネ)して同じ発音に必要があります。
上級者以外は、継続的なこの「反復学習」が実践英語を身に付ける上で必須なのです。
ところがそれを動画だけで行うには、動画のプレーヤーを止めたり、頭出しをしたりと、手間のかかる側面があります。
そこで今回、「リスニング&スピーキング」と表して、「静止字幕&音声プレーヤー」での学習法を提供するシリーズを開始しました。
それは、やはりこの重要な「反復学習」をもっと効果的にしようと思ったからです。
数日前、「シャレード」の「リスニング&スピーキング」を完成させ、今は「ローマの休日」のそれに取り掛かっています。
どのような分野であれ、多くの人は、この「反復学習」を軽視した為に、目標する技量に到達することが出来ず、途中で挫折してしまっているのです。
スポーツでも音楽でも、あらゆる分野の上達者は、この「反復学習」をしっかりと正しく行った人達です。
野球であればバットコントロールやスローイング。楽器演奏であれば、指使いやリズムトレーニングが、それにあたります。
目や耳も反復を繰り返すことによって、だんだんと慣れて、上達していくものです。
野球選手も新人の頃はプロのピッチャーのスビート、変化球になかなか対応できないものですが、何回も対戦することによって、目や体が慣れ、次第に対応出来るようになっていきます。
ミュージシャンも初期の頃は、流れる音楽の聴き分け(和音や音の高低)がなかなか出来なかったりするものですが、何回も何回も聴くことによって、聴き取る力が伸びていきます。
オーケストラの指揮者ば、演奏者一人一人の音を完全に聞き分けられるまで、耳を鍛えた人達です。そうでなければ指揮者を務めることは出来ません。
全ての分野の熟練者は、「反復学習」を「正しく」行った人達なのです。
この「正しく」という意義はとても重要です。
反復の効果は、悪い方にも影響するからです。
私は以前、楽器を演奏する仕事をしていましたが、初期の頃、プロの先生からいくつかの重要な教えを受けました。
一つは、指使いを間違えない、ゆっくりな速さから練習するということでした。
どんなに上手に演奏出来ていても、途中で間違えたり、止まってしまうと、その癖がついてしまい、返って下手になってしまう、という理由からでした。
また、指使いは楽器から極力離さないで、常にタッチする場所の近くに置いておくことの重要性を言われました。
そうしないと速いフレーズを演奏する時に、指がついていけないという理由でした。
つまり、「筋肉は一度ついた癖」は、なかなか治らないという事実があるのです。
英語学習について言えば、間違った発音でスピーキングを繰り返していると、それが癖になり、正しい発音に直すことに、多大の労力がかかるからです。
発音も口の周りの筋肉の動きなのです。
以前に【世界で通じる英語】でも書きましたが、正しくない発音でも、ネイティブには何とか通じるかもしれませんが、英語を母国語としない第三国の人達には、なかなか通じないものです。
思考も反復の影響を受けます。
人の悪口を言う人は、悪口をいう事が癖になり、いつも人の悪口を言っています。
反復したものは、良いことも悪いことも習慣になってしまうのです。
反復したものは何であれ、多ければ多い程その人の身に付いてしまい、いつしかパーソナリティーを形成していくのです。
英語学習に限らず、何を反復するかはとても大切です。