003句について

003_01句の文法的な意味 単語と節の中間の単位

(1)句の条件

句の条件は、「単語2つ以上の集合」であること、それが文法的に「1つの品詞」の機能を果たし、一定の「意味」を表していること である。

この点では節も同じである。しかし句はその中に、「主語+ 動詞」の関係にある語句を含んでいないことで節と区別される。このことを具体例でまず確認しておこう。

[例]

I was surprised to hear the news.

(私はそのニュースを聞いて驚いた)

上例では、to hear the newsは4語から成り、「ニュースを聞いて」という意味を表し、さらにwas surprisedを修飾している。「驚いた」という動詞にかかっている点では、副詞に相当する。したがって、これは副詞句ということになる。

次にこの副詞句to hear the newsを、そのニュースを聞いた とき(ので)」と書き換えてみるとI was surprised when ( or because) I heard the news.

となってwhen以下はI (主語)とheard (動詞)を含んでいるので、副詞節である。

以上のことから、句は語群である点では、文の構成上、単語よりも大きな単位であるが、「主語+動詞」を含まない点では節よりも下の単位と見なされる。

(2)句と慣用句

慣用句はイディオム・熟語・成句と呼ばれることもある。次の例を見てみよう。

[例]

He lost his purse and his watch to boot.

(彼は財布をなくし、おまけに時計もなくした)

to bootは「おまけに」という意味であり、文法的には副詞句である。しかし、これは慣用句であって、単に単語の集まりとして表面上のとらえ方をしたのでは、意味の理解しにくい表現である。このように、文法機能(品詞)や、表す意味のうえで、句の中の主要な語が、何らかの変化をする場合にとくに注意を要するのである。

003-02名詞句 名詞的なはたらき

最も一般的で応用のきくものは不定詞である。他に(代)名詞+(代)名詞、形容詞+名詞、動名詞+名詞、分詞+名詞などがある。

(1)不定詞 ~すること

[例]

“To blow one’s own trumpet”means to praise oneself.

(「自分のトランペットを吹く」というのは自画自賛することを意味する)

to blow one’s own trumpetは成句としての英語のことわざである。日本語でも「ラッパを吹く」は「ほら吹き」のことである。To blow one’s own trumpet は文の主語となる名詞句で、to praise oneselfは文の補語となっている名詞句である。

(2)名詞+名詞

pencil caseなどのように、名詞+名詞=名詞句で、この例はたくさんある。ただ、英語では日本語のように名詞を多数並べて、前の名詞が後の名詞を次々と修飾する形容詞の役目をするということは少ない。例えば、「コロンビア大学総長」はThe president of Columbia Universityという。もっとも英語でも、単語と単語の関係が緊密化すると一語になってsunf lower (ひまわり)、fire place (暖炉)、mailbox (郵便箱)と一語になる。語順についても、英語ではそれなりの順序がある。日本語の「野山」あるいは「山野」は、fields and mountainsとなる。その他に「南北」nor th and south、「黒と白」black and white「バターつきパン」bread and butter 「ライスカレ 一」curry and riceなどがある。

名詞などでもyou and I (me)、you and Jackなどと2>3>l人称の順にするのが一般的である。

(3)形容詞+名詞

これも枚挙にいとまがない。語順という点では、形容詞が名詞の

前ではあるが、例外もある。things American (アメリカの風物• 事物)thirds femininde (婦乂に関する問題)Japan proper (日本本土)sum total (total sumともいう)(総額)などおぼえておこう。

(4)動名詞 + 名詞

reading room (読書室)、living room (居間)、swimming pool (水泳プール) chewing gum (ガム) visiting card (名刺=calling    card,    business    card)、steering wheel (船•自動車のハンド ル)など多数ある。概して「〜するための」という目的を示す動名 詞が次の名詞を修飾して名詞句をなしている。

(5)分詞 + 名詞

分詞は現在分詞の場合と過去分詞の場合がある。swiming car (走行中の車)、living thing (生物)、swimming gi11 ( 泳いでいる少女)、trembling hands (ふるえる手)、flying saucer (空飛ぶ円盤)

現在分詞+名詞は「〜している」という意味の現在分詞が次の名詞を修飾して名詞句をなす。過去分詞+名詞は「〜された(る)」と いう受身の意味を持つ過去分詞が次の名詞にかかる。ただし、いずれの場合でも、次に副詞句をともなうと、現在分詞•過去分詞は名詞

の後にまわる。

[例]

a girl swimming in the pool

(プールで泳いでいる少女)

a record written by Mr. Smith

(スミス氏の書いた記録)

上例で、in the pool, by Mr. Smithはそれぞれ「場所」「行為」を示す副詞句である。

※名詞を修飾する分詞は単独までは名詞の前、副詞句をともなうと名詞の後に来る。

003-03形容詞句 the books to read

代表的なものとしては、不定詞に導かれるものと前置詞+(代)名詞がある。

(1)不定詞に導かれるもの

[例]

the books to read

 (読むべき本)

wine to be tasted with meat

(肉類とともに賞味されるべきワイン)

to be tasted with meat全体が wineを修飾する形容詞句で、その中にto be tastedを修飾する副詞句 with meat (肉と一緒に) が含まれている。

(2)前置詞+ (代)名詞

[例]

a book on the desk (机上にある一冊の本)

the man with a dog (犬をつれたその人)

a hole in my sock (私の靴下の穴)

a man from New York (ニューヨークから来た人)

the thing in it (その中にあるもの)

いずれも基本的な前置詞の意味さえ知っていれば表現できる応用

範囲の広い用法である。動詞を用いずに表現できるので、時制の一致などにわずらわされずに済む便利な句といえる。

of +抽象名詞=形容詞の例もぜひおぼえておきたい。

[例]

books of use = useful books (有用な本)

a matter of importance = an important matter (重要な問題)

a man of courage = a courageous man (勇気のある人)

jewels of value = valuable jewels (貴重な宝石)

同様な例として、次のようなものがある。

a man of sense (常識のある人)=a sensible man

a man of good sense (良識のある人)

a man of letters (文学者)

a man of few words = an oyster of a man (無口な人)

次のように文の補語として用いることもある。

[例]

That clock is of little use.

(あの時計はほとんど役にたたない)

(3) a+名詞+of a〜の形

[例]

a mountain of a wave = a mountainous wave

(山のような波)

an angel of a girl=an angelic girl (天使のような少女)

a box of a house (箱のような家)

やや特殊な表現ではあるが、a + 名詞+ of a が修飾される名詞の前に置かれる。

※an angel of a girlは「女の子の天使」にあらず。

003-04副詞句 I met him in the park.

不定詞や前置詞+ (代)名詞、前置詞+動名詞などが最も一般的である。分詞構文は、とくに書きことばに用いられる副詞句である。

(1)不定詞 

「目的」・「理由」・「原因」・「条件」・「程度」などを表すものが多い。

(2)前置詞+ (代)名詞 

「目的」・「理由」・「条件」などの他に「場所」・「時」を示すものが多い。

A)「場所」・「時」

[例]

I met him in the park.(公園で彼に出会った)

I got up early in the morning.(朝早く 起きた)

this, last, next, everyなどのついた「時」を示す副詞句は通常、前置詞をつけずに用いられる。

[例]

this morning (けさ)

last Sunday (この前の日曜)

next week (来週),every day (毎日)

every other (or second) day (1日ぉきに)

B)「目的」「理由」「条件」「譲歩」など

二重前置詞 ( 2 語から成るもの)、群前置詞(前置詞を2 語以上含むもの)を用いる場合が多い。

[例]

He went to England for the purpose of studying English.

(彼は英語を勉強する目的で英国に行った)

Tom was absent because of a headache.

(トムは頭痛で欠席した)

The train was delayed owing to the heavy snow.

(その汽車は大雪のためにおくれた)

Thanks to the development of science, we can enjoy an easier life.

(科学の発達のおかげで従来より楽な生活ができる)

Mary joined us in spite of her illness.

(メアリーは病気にもかかわらず私たちに加わった)

(3)前置詞+動名詞

[例]

1.You must be careful in choosing your job.

(職業を選ぶときには愤重でなくてはならない)

2. By doing nothing we learn to do evil.

(何もなさぬことによって、人は悪をなすことをおぼえる)

  1. のin choosing、2.のBy doingは副詞節に書き換えられる。

1. You must be careful when you choose your job.

2. If we do nothing, we learn to do evil.

※副詞句は副詞節に書き換えることができる場合が多い。

(4)分詞構文

「理由」「時」「条件」「譲歩」などを示す。特定のもの以外は書きことばで用いる。

[例]

Generally speaking, the climate there is mild.

(概して言えば、そこの気候は穏やかである)

003-05動詞句 自動詞+前置詞(副詞)

[例]

1. I looked for the watch.(私はその時計をさがした)

2. I gave up the plan.(私はその計画をあきらめた)

1.ではforの意味「〜を求めて」を知っていれば、I lookedとfor the watch を分離し考え、「私はその時計をさがして(まわりを)見た」と考えることもできる。すなわちfor the watch を副詞句と考えることもできる。しかし、2.では,giveとupのそれぞれの意味を知っていても、give up の意味はわからない。このように自動詞+前置詞、自動詞+副詞、あるいはそれぞれにまだ数語がついたもの(look for ward to など)を1 つの動詞(多くは他動詞) として扱った方が便利な場合が多い。とくにtake , have , make などの基本的な動詞に前置詞や副詞,さらには名詞などが含まれて、1つの動詞の概念を表すもの(take part in 〜「〜に参加する」など)は、動詞句あるいは、いわゆる熟語として注意し、おぼえていく習慣をつけたい。

[例]

I’ll take back what I said.

(私が言ったことは取り消しましょう)

He took out his purse.(彼は財布を取り出した)

I was somewhat taken aback.

(私はいささかあっけにとられた)

They made away with the money.

(彼らはその金を持ち逃げした)

Don’t look away.

(わき見をするな)

You must make up for the lost time.

(きみはむだにした時間を取り戻さねばならない)