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「人魚姫」日本語音声対訳 12 王子との幸せな日々

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日がたつにつれて、王子はだんだん人魚の姫が好きになりました。
Day by day/ she became dearer/ to the prince;
日ごとに/ 彼女はより大切になった/ 王子にとって

王子は、心のすなおな、かわいいこどもをかわいがるように、姫をかわいがりました。
he loved her/ as one loves a good sweet child,
王子は彼女を可愛がった/ 人が愛しい子供を可愛がる様に

けれど、この姫を、お妃きさきがしようなんということは、まるっきりこころにうかんだことがありません。
but it never entered his head/ to make her his queen;
だが頭によぎった事はなかった/ 彼女を妃に迎える事が

でも、姫としては、どうしても王子のおよめにしていただかなければ、
yet unless she became his wife
その上彼女が王子の妻にならない限り

yet まだそのうえに,さらに
unless …でない限り

もう死なないたましいのさずかるみちはありません。
she would never win an everlasting soul,
決して永遠の魂を勝ち取れない

そうして、王子がほかのお妃をむかえた次の朝、
but on his wedding morning
それより彼の結婚式の朝には

海のあわになってきえなければなりませんでした。
would turn to sea-foam.
海の上の泡と化す

「わたくしを、だれよりもいちばんかわいいとはおおもいにならなくて。」
‘Am I not dearer/ to you/ than any of them?’
「私は可愛くありませんか/ あなたにとって」/ 彼らの誰よりも

と、王子が人魚の姫を腕にかかえて、そのうつくしいひたえにほおをよせるとき、姫の目は、そうたずねているようにみえました。
the little mermaid’s eyes/ seemed to say/ when he took her in his arms/ and kissed her beautiful brow.
人魚の姫の目は/ 言っている様に見えた/ 王子が彼女を腕に抱き/ 美しい額にキスする時

brow 額, 眉(毛)

「そうとも、いちばんかわいいとも。」と、王子はいいました。
‘Yes, you are the dearest one to me,’/ said the prince,
「そう、あなたは一番可愛い」/ と王子は言った

「だって、おまえはだれよりもいちばんやさしい心をもっているし、
‘for/ you have the best heart/ of them all,
「と言うのは/ あなたはいい心を持っている/ 彼らの誰よりも」

いちばん、ぼくをだいじにしてつかえてくれる。
and you are fondest of me;
そして私を一番好いている

fond of〔…を〕好んで

それに、ぼくがいつかあったことがあって、それなりもう二どとはあえまいとおもうむすめによく似ているのだよ。
you are also like a young girl/ I once saw,/ but whom I never expect to see again.
それにあなたは少女に似ている/ 私が一度会った/ だが二度と会う事がないであろう

expect 予期する

ぼくはあるとき、船にのって、難破したことがあった。
I was on board a ship/ which was wrecked;
私は船に乗っていた/ 遭難した

波がぼくを、あるとうとい教会のちかくの浜にうち上げてくれた。
I was driven on shore/ by the waves/ close to a holy Temple
私は岸に押し流された/ 波で/ 神聖な教会の近くの

drive 押し流す

その教会にはおおぜい、わかいむすめたちが、おつとめしていた。
where/ several young girls were/ ministering at a service;
その教会では/ 何人かの少女が/ 奉仕していた

minister〔…に〕仕える

そのなかでいちばんわかい子が、ぼくを浜でみつけて、
the youngest of them found me on the beach
一番若い娘が私を浜で見つけ

いのちをたすけてくれた。
and saved my life;
私の命を救った

ぼくは、その子を二どみただけだった。
I saw her but twice.
私は彼女に二度だけ会った

その子だけが、ぼくのこの世の中で好きだとおもったただひとりのむすめだった。
She was the only person/ I could love in this world,
彼女は唯一の人だった/ 私がこの世で愛せる

ところで、おまえがそのむすめに生きうつしなのだ。
but you are like her,
だがあなたは彼女にそっくりだ

あまり似ているので、ぼくの心にのこっていたあのむすめのすがたが、いまではどうやらとおくにおしのけられそうだ。
you almost drive her image/ out of my heart.
あなたは彼女の姿を忘れさせる/ 私の心から

drive 追い出す

そのむすめは、とうとい教会につかえているむすめだから、
She belongs to the holy Temple,
彼女は神聖な教会に仕えている

ぼくの幸運の神さまが、その子のかわりに、おまえをぼくのところへよこしてくれたのだ。
and therefore by good fortune/ you have been sent to me;
それで運命の女神によって/ あなたは私に送られた

いつまでもいっしょにいようね。」
we will never part!’
私達は決して離れない

「ああ、あの方は、あの方のおいのちをたすけてあげたのは、このあたしだということをお知りにならないのね。」と、人魚の姫はおもいました。
‘Alas! he does not know that it was I who saved his life,’/ thought the little mermaid.
「ああ!彼は知らない/ それが私だと/ 彼の命を救ったのが」/と人魚の姫は思った

「あたし、あの方をかかえて海の上を、教会のある森の所まではこんであげたのだわ。
‘I bore him over the sea/ to the wood/ where the Temple stands.
「私は彼を海上で運んだ/ 森まで/ 教会が立っている」

bear〔…へ〕運ぶ,持って[連れて]行く〔to〕

あたし、そのとき、あわのかげにかくれて、
I sat behind the foam
私は泡の後ろにうずくまり

sit うずくまる

だれかひとは来ないかみていたのだわ。
and watched to see/ if any one would come.
見張っていた/ 誰か来るかどうか

あの方が、あたしよりもっと好きだとおっしゃるそのうつくしいむすめも、みて知っている。」
I saw the pretty girl/ he loves better than me.’
私はその可愛い娘を見た/ 王子が私より愛している

と、ここまでかんがえて、人魚の姫は、ふかいため息をしました。
And the mermaid heaved a bitter sigh,
人魚の姫は深いため息をついた

heave うなり声を出す, 溜息をつく, 胸が波打つ
sigh ため息,吐息; 嘆息

人魚は泣きたくも泣けないのです。
for she could not weep.
泣けないので

「でも、そのむすめさんは、とうとい教会につかえている身だから、
‘The girl belongs to the holy Temple,
「その娘は神聖な教会に仕えている

世の中へでてくることはないと、あの方はおっしゃった。
he has said;/ she will never return/ to the world,
王子は言った/ 彼女は出て来ないと/ 俗世間に

おふたりのあうことはきっともうないのね。
they will never meet again.
彼らは二度と会わない

あたしはこうしてあの方のおそばにいる。
I am here with him;
私は彼とここにいる

まいにち、あの方のお顔をみている。
I see him every day.
毎日彼を見てる

あたし、あの方をよくいたわってあげよう。
Yes! I will tend him,
そう!私は彼に奉仕する

あの方にやさしくしよう、あたしのいのちを、あの方にささげよう。」
love him,/ and give up my life to him.’
彼を愛し/ 私の命を捧げよう

ところが、そのうちに、王子がいよいよ結婚することになった、といううわさが立ちました。
But now the rumour ran/ that the prince was to be married
だが噂が立った/ 王子が結婚すると言う

おとなりの王国のきれいなお姫さまをお妃さきにむかえることになったという。
to the beautiful daughter/ of a neighbouring king,
美しい娘と/ 近隣の王の

そのために、王子さまは、りっぱな船を一そう、おしたてさせになったともいいました。
and for that reason was/ fitting out a splendid ship.
そしてその為に/ 豪華な船を作っていると言う

fit out 装備する

こんどの王子の旅行は、おもてむき、おとなりの王国を見学にいかれるということになっているけれど、
It was given out that the prince was going on a voyage to see the adjoining countries,
発表された/ 王子が航海に出る事を/ 隣接国を見る為に

give out that〈…だと〉発表する
voyage 船旅, 航海
adjoining 隣の, 付近の

じつは王さまのお姫さまにあいにいくのだということでした。
but it was without doubt/ to see the king’s daughter;
だがそれは疑いなく/ 王の娘に会うことだった

without doubt 疑いもなく, 確実に

たくさんのおともの人数もきまっていました。
he was to/ have a great suite with him.
彼は予定であった/ 沢山の従者を連れて行く

be to 予定である
suite 一行,随(行)員

でも、人魚の姫は、あたまをふって、にっこりしていました。
But the little mermaid shook her head/ and laughed;
だが人魚の姫は頭を揺り動かし/ 笑った

shake 振り動かす,揺すぶる

王子の心は、だれよりもよく、この姫に分かっているはずでした。
she knew the prince’s intentions/ much better than any of the others.
彼女は王子の意図を知っていた/ 誰よりもよく

intention 意図, 意向

「ぼくは旅をしなければならないよ。」と、王子は人魚の姫にいいました。
‘I must take this voyage,’/ he had said to her;
「私はこの航海をせねばならない」/ と王子は彼女に言った

「きれいな王女のお姫さまにあいにいくのさ。
‘I must go/ and see the beautiful princess;
「行かねばならない/ 美しい王女に会いに

おとうさまとおかあさまのおのぞみでね。
my parents demand that,
両親がそれを求めている

だが、ぜひともそのお姫さまをぼくのおよめにもらって来いというのではないよ。
but they will never force me/ to bring her home/ as my bride;
だが彼らは強制しない/ 彼女を家に連れて来る事を/ 花嫁として

だが、ぼくはそのお姫さまが好きにはなれまいよ。
I can never love her!
私は彼女を愛せない

おまえがそれにそっくりだといった、あの教会のきれいなむすめには似ていないだろうからね。
She will not be like/ the lovely girl in the Temple/ whom you resemble.
彼女は似てないだろう/ あの教会の可愛い娘に/ あなたとそっくりの

resemble 〜と共通点がある, 〜に似ている, 〜に生き写しである

そのうち、どうしてもおよめえらびをしなければならなくなったら、
If ever/ I had to choose a bride
もしいつか/ 花嫁を選ばねばならないなら

ever いつか

ぼくはいっそおまえをえらぶよ。
it would sooner be you
いっその事あなたにする

sooner いっその事

口はきけないかわり、ものをいう目をもっている、ひろいむすめのおまえをね。」
with your speaking eyes,/ my sweet,/ dumb foundling!’
物言う目を持つ/ 私の可愛い/ 口のきけない捨い子と」

こういって、王子は、姫のあかいくちびるにくちをつけました。
And he kissed/ her rosy mouth,
そしてキスした/ 彼女のバラ色の口に

それからながい髪の毛をいじって、
played with her long hair,
彼女の長い髪をいじり

その胸に顔をおしつけました。
and laid his head upon her heart,
頭を彼女の胸に押し付けた

それだけでもう姫のこころには、人間にうまれた幸福と、死なないたましいのことが、夢のようにうかびました。
which already dreamt of/ human joys and/ an immortal soul.
それでもう夢に浮かんだ/ 人間の幸福と/ 死なない魂が

「でも、おしのひろいむすめさんは、海をこわがりはしないだろうね。」と、王子はいいました。
‘You are not frightened of the sea, I suppose,/ my dumb child?’/ he said,
あなたは海を怖がらないよね/ 口のきけない捨い子さん/ と彼は言った

そのとき、ふたりは、おとなりの王さまの国へ行くはずのりっぱな船の上にいました。
as/ they stood on the proud ship/ which was to carry them/ to the country of the neighbouring king;
その時/ 彼らは豪華な船上に立っていた/ その船は彼らを運ぶことになっている/ 近隣の王の国へ

as ~している時
proud 見事な,りっぱな,堂々とした

それから王子に、海のしけとなぎのこと、
and he told her/ about storms and calms,
そして王子は姫に話した/ 嵐やなぎについて

海のそこのふしぎな魚のこと、驚くべき
about curious fish in the deep,
深海の珍しい魚について

そこで潜水夫のみて来ていることなどを、
なにくれと話しました。
and the marvels/ seen by divers;
そして驚くべき事を/ 潜水夫が見られた

でも、話のなかで、姫はついほほえみかけました。
and she smiled at his tales,
それで彼女は彼の話に微笑んだ

tale 話,物語

そうでしょう、海のそこのことなら、だれがなんといったって、この姫にかなうものはないでしょうから。
for/ she knew all about the bottom of the sea/ much better than any one else.
と言うのは/ 彼女は海の底全部を知っていたから/ 他の誰よりもずっとよく

月のいい晩で、
At night, in the moonlight,
月あかりの夜

舵かじの所に立っている舵とりひとりのこして、船のなかの人たちはみんな寝しずまっていました。
when all were asleep,/ except the steersman/ who stood at the helm,
皆が眠った時/ 舵取りを除いて/ 舵を握って立っていた

steersman 舵手(だしゅ)
helm 舵(かじ)の柄, 操舵装置

人魚の姫は、船のへりに腰をかけて、
she sat at the side of the ship
彼女は船の脇に座っていて

澄んだ水のなかを、じっとながめていました。
trying to pierce the clear water/ with her eyes,
澄んだ水を見入った/ 目を凝らして

pierce 洞察する,見抜く

おとうさまの御殿が、そこにみえているようにおもわれました。
and fancied she saw/ her father’s palace,
すると目に浮かんだ/ 父の宮殿が

fancy (何となく)〈…だと〉思う

御殿のいちばんの高殿には、おつむりに銀のかんむりをのせたおばあさまが立っていらしって、
and above it/ her old grandmother/ with her silver crown on her head,
そしてその上で/ 高齢の祖母が/ 頭に銀の冠を被っている

はやいうしおの流れをすかして、じいっとこちらの船の竜骨をみ上げておいでになるようです。
looking up/ through the cross currents/ towards the keel of the ship.
見上げていた/ 渦巻く海流の中から/ 船の竜骨の方を

current 流れ,流動; 潮流,海流; 気流

するうち、おねえさまたちが、波の上に出て来ました。
Then her sisters rose/ above the water;
すると姉達が上がって来た/ 水の上に

そうして、かなしそうな顔で、こちらをみて、
they gazed sadly at her,
彼らは悲しげに彼女を見て

その白い手を、せつなそうにこすりました。
wringing their white hands.
白い手を握り締めた

wring〈手を〉固く握る

姫は、おねえさまたちにあいずして、にっこりわらいかけて、
She beckoned to them, smiled,
姫は彼らに合図し笑った

beckon 〈人を〉招く,〈人に〉合図する

こちらは不足なくしあわせにしている話をしようとすると、
and was about to tell them/ that all was going well/ and happily with her,
そして彼らに話そうとした/ 全てよくなっていると/ そして幸福だと

be about to まさに…せんとして

そこへ、船のボーイがふしんらしく寄って来たので、
when the cabin-boy approached,
その時船室給仕が近づいた

おねえさまたちは水にもぐりました。
and the sisters dived down,
それで姉達は水に潜った

それで、ボーイも、いま、ちらと白いものがみえたのは、海のあわであったかとおもって、それなりにしてしまいました。
but he supposed/ that the white objects he had seen were/ nothing but flakes of foam.
だが給仕は思った/ 自分が見た白い物体は/ 泡の一片にすぎないと

object (知覚できる)物,物体
nothing but ~にすぎない
flake 薄片, 一片