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「人魚姫」日本語音声対訳 11 人間の体になった人魚姫

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人魚の姫は、やきつくように、つんとつよいくすりをのみました。
The little mermaid drank/ the burning, stinging draught,
人魚の姫は飲んだ/ 燃えて焼きつく様な薬を

sting ひりひりさせる,ずきずきさせる

すると、きゃしゃなふしぶしに、するどいもろ刄のつるぎを、きりきり突きとおされたようにかんじて、
and it was like a sharp, two-edged sword/ running through her tender frame;
それは鋭い諸刃の剣の様だった/ 彼女の柔らかな体をえぐる

frame 骨格; 体

それなり気がとおくなり、死んだようになってたおれました。
she fainted away/ and lay/ as if she were dead.
彼女は気が遠くなり/ 横たわっていた/ まるで死んでいるかの様に

faint away 気が遠くなる,気絶する

やがて、お日さまの光が、海の上にかがやきだしたとき、姫は目がさめました。
When the sun rose on the sea/ she woke up
太陽が海上を昇った時/ 彼女は目を覚ました

とたんに、切りさかれるような痛みをかんじました。
and became conscious of a sharp pang,
すると激痛が走った

conscious of 覚えて, 意識して, 気づいて
pang (肉体上の)激痛, さしこみ

けれど、もうそのとき、すぐ目のまえには、うつくしいわかい王子が立っていました。
but just in front of her/ stood the handsome young prince,
でもすぐ目の前には/ りりしい若い王子が立っていて

王子は、うるしのような黒い目でじっと姫をみつめていました。
fixing/ his coal black eyes/ on her;
じっと向けていた/ 黒々とした目を/ 彼女に

fix 〈目・注意・カメラなどを〉〔…に〕じっと向ける
coal-black 黒々した, 真っ黒の

はっとして、姫は目を伏せました。
she cast hers down
彼女は目を下にやった

すると、あのおさかなのしっぽは、きれいになくなっていて、
and saw that her fish’s tail was gone,
見ると魚の尻尾がなくなっていた

わかいむすめだけしかないような、それはそれはかわいらしい、まっ白な二本の足とかわっているのが、目にはいりました。
and that she had the prettiest little white legs/ any maiden could desire;
そして可憐な白い足になっていた/ 少女なら誰しもが望む

でも、まるっきり、からだをおおうものがないので、
but she was quite naked,
でも何も身に付けてなかった

姫は、ふっさりとこくながい髪の毛で、それをかくしました。
so she wrapped her long thick hair/ around her.
それで彼女は長い濃い髪をくるんだ/ 身の周りに

thick〈髪など〉濃い

王子はそのとき、いったい、あなたはだれか、どこから来たのかといって、たずねました。
The prince asked/ who she was/ and how she came there.
王子は尋ねた/ 彼女が誰で/ どうやってここに来たのか

姫は、王子の顔を、やさしく、でも、あくまでかなしそうに、そのこいあい色の目でみあげました。
She looked at him tenderly/ and with a sad expression/ in her dark blue eyes,
彼女は優しく王子を見た/ そして悲しげに訴えた/ その濃い藍色の目で

expression (顔・目などの)表情,顔つき

もう、口をききたくもきけないのです。
but could not speak.
でも話せなかった

そこで、王子は姫の手をとって、お城のなかへつれていきました。
Then he took her/ by the hand/ and led her into the palace.
それで王子は彼女を連れて行った/ 手を取って/ そして宮殿に案内した

なるほど、魔女があらかじめいいきかせていたように、姫は、ひと足ごとに、
Every step she took was,/ as the witch had warned her/ beforehand,
彼女の一歩一歩は/ 魔女が警告した様に/ 前もって

beforehand 前もって,あらかじめ,事前に

とがった針か、するどい刄ものの上をふんであるくようでしたが、
as if she were treading on/ sharp knives and spikes,
まるで踏んでいる様だった/ 鋭い刃物と釘を

いさんで、それをこらえました。
but she bore it gladly;
でも彼女は喜んでそれに耐えた

gladly 快く

王子の手にすがって、姫は、それこそシャボン玉のようにかるく上がっていきました。
led by the prince,/ she moved/ as lightly as a bubble,
王子に導かれ/ 彼女は歩んだ/ 泡の様に軽く

すると、王子もおつきの人たちもみんな、姫のしなやかな、かるい足どりをふしぎそうに見ました。
and he and every one else marvelled/ at her graceful gliding gait.
それで王子や他の誰もが驚いた/ 彼女の優雅な浮く様な足取りに

marvel at 驚嘆する, 不思議に思う, 不思議がる

さて、姫は、絹とモスリンの高価な着物をいただいて着ました。
Clothed in the costliest silks and muslins
高価な絹とモスリンを着せられた

costly 高価な; 金のかかる
muslin 木綿地

お城のなかでは、だれひとりおよぶもののないうつくしさでした。
she was the greatest beauty/ in the palace,
彼女は最も美しかった/ 宮殿の中で

けれど、おしで、歌をうたうことも、ものをいうこともできません。
but she was dumb,/ and could neither sing nor speak.
でも彼女はおしで/ 歌う事も話す事もできなかった

絹に金のぬいとりした着物を着かざったうつくしい女の家来たちがでて来て、
Beautiful slaves/ clad in silks and gold/ came forward
美しい家来達が/ 絹と金で装った/ 進み出た

clad (clothe)の過去形・過去分詞

王子と、王子のご両親の王さま、お妃きさきさまのご前で歌をうたいました。
and sang/ to the prince and his royal parents;
そして歌った/ 王子と王室の両親に

そのなかでひとり、たれよりもひときわじょうずによくうたう女があったので、
one of them sang/ better than all the others,
その内の1人は歌った/ 誰よりもうまく

王子は手をたたいてやって、そのほうへにっこりわらいかけました。
and the prince clapped his hands/ and smiled at her;
王子は手をたたき/ 彼女に微笑んだ

でも、人魚の姫は、じぶんなら、はるかずっといい声でうたえるのにとおもって、かなしくなりました。
that made the little mermaid very sad,/ for she knew that/ she used to sing/ far better herself.
それは人魚の姫をとても悲しくした/ なぜなら彼女は知っていたから/ 以前に歌っていたのを/ 自分がはるかにうまく

used to 以前は〜だった

そこで、「ああ、王子さまのおそばに来たいばかりに、あたしは、みらいえいごう、声をひとにやってしまったのです。せめて、それがおわかりになったらね。」と、姫はおもっていました。
She thought,/ ‘Oh! if he only knew that/ for the sake of being with him/ I had given up my voice/ for ever!’
彼女は思った/ ああ、彼がただ知ってくれたならば/ 彼と一緒に居る為に/ 私が声を断念した事を/ 永遠に

こんどは、女の家来たちが、それはけっこうな音楽にあわせて、しとやかに、かるい足どりで、おどりました。
Now the slaves began to dance,/ graceful undulating dances/ to enchanting music;
今度は家来達が踊り始めた/ 上品に波打つダンスを/ 優美な音楽に合わせて

undulate 波のようにうねる, 波のように動く
enchant うっとりさせる,〈人の〉心を奪う,魅する

すると、人魚の姫も、うつくしい白い腕をあげて、
thereupon the little mermaid,/ lifting her beautiful white arms
そこで人魚の姫は/ 美しい白い腕を上げ

つま先立ちして、
and raising herself on tiptoe,
そしてつま先で起き上がり

tiptoe つま先

だれにもまねのならないかるい身のこなしで、ゆかの上をすべるようにおどりあるきました。
glided on the floor/ with a grace/ which none of the other dancers/ had yet attained.
床を滑る様に踊った/ 魅惑的に/ 他の踊り子の誰も/ 身に付けていない程

grace (人を引きつける)美点,魅力
attain (努力して)成し遂げる,達成する,獲得する

ひとつひとつ、しぐさをかさねるにしたがって、この人魚の姫の世にないうつくしさが、いよいよ目に立ちました。
With every motion/ her grace and beauty/ became more apparent,
一つ一つの動作によって/ 彼女の優雅さと美しさが/ より際立った

その目のはたらきは、家来たちの女の歌とくらべものにならない、ふかいいみを、見る人びとのこころに語っていました。
and her eyes appealed/ more deeply to the heart/ than the songs of the slaves.
そして彼女の目は訴えた/ より心に深く/ 家来達の歌よりも

そこにいた人たちは、だれも、酔ったようになっていました。
Every one was delighted with it,
居た者全てが魅了された

delight with〔…で〕喜ばせる

とりわけ、王子は、
especially the prince,
特に王子は

姫の名を「かわいいひろいむすめさん」とつけてよろこんでいました。
who called her/ his little foundling;
彼女を呼んだ/ 私の可愛い捨い子と

foundling 拾い子,捨て子

姫は、いくらでもおどりつづけました。
and she danced on and on,
彼女は休まず踊り続けた

on and on 引き続き, 休まずに

地に足がふれるたびに、
notwithstanding that/ every time her foot touched the ground
けれど/ 足が地面に触れる度

notwithstanding that ~だけれども

するどい刄ものの上をふむようでした。
it was like treading/ on sharp knives.
踏んでいる様だった/ 鋭い刃物を

王子は、いつまでもじぶんの所にいるようにといって、
The prince said that/ she should always be near him,
王子は言った/ いつも自分のそばに居てくれと

すぐじぶんのへやのまえの、びろうどのしとねにねることをゆるしました。
and she was allowed to sleep/ outside his door/ on a velvet cushion.
そして眠ることを許された/ 王子の部屋のドアの外の/ ビロードのクッションの上で

王子は、姫を馬にのせてつれてあるけるように、男のお小姓の着る服をこしらえてやりました。
He had a man’s dress/ made for her,/ so that she could ride about/ with him.
王子は男物のドレスを用意していた/ 彼女の為に作った/ それで彼女は乗馬が出来た/ 彼と一緒に

ride about 乗り廻す

ふたりは、いいにおいのする森のなかを、馬であるきました。
They used to ride/ through scented woods,
彼らはよく乗馬した/ よい香りのする森を通って

scented よい香りのする

すると、みどりのこい木の枝が、ふたりの肩にさわったり、
where the green branches brushed/ her shoulders,
そこでは緑の枝が触れた/ 彼女の肩に

brush〈…を〉かすって通る

小鳥たちが、みすみずしい葉かげで歌をうたいました。
and little birds sang/ among the fresh leaves.
小鳥が歌った/ 新鮮な葉の間で

姫は、王子について、たかい山にものぼりました。
She climbed up the highest mountains/ with the prince,
彼女は高い山に登った/ 王子と一緒に

そんなとき、きゃしゃな足から血がながれて、
and although her delicate feet bled
彼女の繊細な足は血を流したけれど

ほかのひとたちの目につくほどになっても、
so that others saw it,
それで他の者がそれを見たが

姫はわらっていました。
she only laughed
彼女は笑顔でいた

そうして、どこまでも王子にくっついていって、
and followed him
そして彼について行った

雲が、よその国へわたっていく鳥のむれのように、とんでいるところを、はるか目のしたにながめました。
until they saw the clouds sailing below them/ like a flock of birds,/ taking flight to distant lands.
雲が下に流れているのを見るまで/ 鳥の群れの様に/ 遠い国へと渡っている

王子のお城のなかにいるとき、
At home in the prince’s palace,
王子の宮殿の家で

夜な夜な、ほかのひとたちのねむっているあいだに、
when at night the others were asleep,
夜他の人達が眠っていた時

姫は、大理石の階段のうえに出ました。
she used to go out/ on to the marble steps;
彼女はよく出ていた/ 大理石の階段の上に

on to = onto ~の上へ

そうして、もえるような足を、つめたい海の水にひたしました。
it cooled her burning feet/ to stand in the cold sea-water,
焼け付く足を冷やした/ 冷たい海水に立って

そうしているうち、はるか下の海のそこの、わかれて来たひとたちのことが、こころにうかんで来ました。
and at such times/ she used to think of those/ she had left in the deep.
そんな時/ 彼女はよく人々を思い出した/ 海の深みで別れた

those (…な)人々

▼(英語略)
そういう夜のつづいているとき、ある晩、
Once during the night
夜中に一度

夜ぶかく、人魚のおねえさまたちが、手をつなぎあってでて来ました。
One night/ her sisters came arm in arm;
ある日の夜/ 姉達が腕を組んで出て来た

波のうえにうきながら、おねえさまたちは、かなしそうにうたいました。
they sang so sorrowfully/ as they swam on the water
姉達はとても悲しげに歌ったので/ 水面で泳ぎながら

as …しながら

姫が手まねきして知らせると、
that she beckoned to them,
姫は手招きした

beckon 手招きする

むこうでもみつけて、
and they recognised her,
すると彼らも彼女が判り

あちらでは、みんな、どんなにさびしがっているか話してきかせました。
and told her/ how she had grieved them all.
そして彼女に話した/ どんなに皆を深く悲しませているか

grieve 深く悲しませる

それからは、毎晩のように、このおねえさまたちはでて来ました。
After that/ they visited her every night,
その後/ 彼らは毎晩彼女を訪れた

いちどなどは、もう何年とないひさしい前から、海の上にでておいでにならなかったおばあさまの姿を、とおくでみつけました。
and one night she saw,/ a long way out,/ her old grandmother/ who for many years had not been/ above the water,
そしてある晩彼女は見た/ はるか遠方で/ 祖母を/ 長年出なかった/ 水上に

かんむりをおつむりにのせたおとうさまの人魚の王さまも、ごいっしょのようでした。
and the Merman King/ with his crown on his head;
そして人魚の王も/ 頭に王冠をかぶった

おばあさまも、おとうさまも、姫のほうへ手をさしのべましたが、
they stretched out their hands/ towards her,
彼らは手を差しのべた/ 彼女の方に

おねえさまたちのようには、おもいきっておか近くへ寄りませんでした。
but did not venture/ so close to land/ as her sisters.
でもあえてしなかった/ 丘にそんなに近づく事を/ 姉達の様に