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「人魚姫」英語音声対訳 08 おばあさまの忠告

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8. Advice of the grandmother
8. おばあさまの忠告

She became fonder and fonder/ of mankind,
彼女はより好きになった/ 人間が

だんだんに、だんだんに、人間というものが、とうとくおもわれて来ました。

mankind 人類, 人間

and longed more and more/ to be able to live/ among them;
そしてますます切望した/ 住める事を/ 彼らの中で

だんだんに、だんだんに、人間のなかまにはいっていきたいと、ねがうようになりました。

their world seemed/ so infinitely bigger/ than hers;
彼らの世界は見えた/ ずっと大きく/ 彼女のよりも

人間の世界は、人魚の世界にくらべて、はるかに大きくおもわれました。

infinitely [比較級の前] ずっと,はるかに

with their ships they could scour the ocean,
彼らの船で/ 彼らは海を捜索出来た

人間は、船にのって海の上をとびかけることもできますし、

scour 捜し回る,捜索する

they could ascend the mountains/ high above the clouds,
彼らは山々を登れた/ 雲より高い

雲よりもたかい山にのぼることもできました。

ascend (上方に)登る,上がる

and their wooded, grass-grown lands/ extended further/ than her eye could reach.
そして彼らの樹木や草の茂った土地は/ 遠くに広がっていた/ 彼女の目が届くよりも

人間のいる国ぐにには森も畑もあって、それは人魚の目のとどかないとおくまではてしなくひろがっていました。

wooded 森の多い,森のある
grass-grown 草の生えた
extend 広げる,拡張する

There was so much/ that she wanted to know,
多くの事があった/ 彼女が知りたかった

そこで、この姫の知りたいことは山ほどあっても、

but her sisters could not give an answer/ to all her questions,
でも彼女の姉達は答えられなかった/ 彼女の全ての質問に

おねえさまたちのちからでは、そののこらずにこたえることはできません。

so she asked her old grandmother,
それで彼女は祖母に尋ねた

ですから、おばあさまにうかがうことにしました。

who knew the upper world well,
彼女は上の世界の事をよく知っていた

このあばあさまはさすがに、上の世界のことをずっとよく知っておいでになりました。

upper 上のほうの,高いほうの,上部の

and rightly called it/ the country above the sea.
そしてそれをこう呼んだ/ 海の上の国と

上の世界というのは、このおばあさまが、まことにうまく、海の上の国ぐにに名づけたものでした。

rightly 当を得て,然るべく,当然(のことながら)

‘If men are not drowned,’/ asked the little mermaid,
「人間は溺れなければ」/ 人魚の姫は尋ねた

「ねえおばあさま、人間は、水におぼれさえしなければね、」と、姫はたずねました。

‘do they live for ever?
「彼らは永遠に生きますか?

「それはいつまででも生きられるのでしょう。

Do they not die/ as we do down here/ in the sea?
彼らは死にませんか?/ 私達がここで果てるように/ 海の中で

あたしたち海のそこのもののようには死なないのでしょう。」

‘Yes,’ said the old lady,
「死にますよ」と老貴婦人は言った

「どうしてさ。」と、おばあさまは、おっしゃいました。

‘they have to die too,
「彼らも死なねばならない

「人間だって、やはり死ぬのですよ。

and their lifetime is even shorter/ than ours.
そして彼らの生涯はより短い/ 私達よりも

わたしたちよりも、かえって寿命はみじかいくらいです。

even [比較級を強めて] いっそう,なお

We may live here/ for three hundred years,
私達はここで生きるだろう/ 三百年まで

わたしたちは三百年まで生きられます。

but when we cease to exist
だが生涯を終えれば

ただ、いったん、それがおわると、

exist 生存する,生きている

we become mere foam on the water
水面のただの泡となり

それなり、水の上のあわになって、

mere ほんの,単なる,まったく…にすぎない

and do not have so much as a grave/ among our dear ones.
そして墓さえも持たない/ 私達の愛する者達の間で

おたがいむつまじくして来たひとたちのなかに、お墓ひとつのこしては行けません。

so much as …さえも, …すらも.
grave 墓, 墓穴, 墓所, 墓石

We have no immortal souls;
私達は死なない魂を持たない

わたしたちには、死なないたましいというものがないのだよ。

we have no future life;
私達には来世がない

またの世にうまれかわるということがないのだよ。

we are just like the green sea-weed,
私達は緑の海草の様なもの

いわば、あのみどり色したあしのようなもので、

sea-weed 海藻

which, once cut down,
それは一旦切り取られると

いちど刈りとられると、

can never revive again!
決して元に戻れない

もう二どと青くなることがない。

revive 生き返る,よみがえる

Men, on the other hand,
人間はこれに反して

そこへいくと、人間には

on the other hand 他方では,これに反して

have a soul/ which lives for ever,
魂があり/ それは永遠に生きる

たましいというものがあって、それがいつまででも生きている。

lives after the body has become dust;
肉体が塵と化した後も生きる

からだが土にかえってしまったあとでも、たましいは生きている。

it rises through the clear air,
それは澄んだ空に上がる

それが、澄んだ大空の上にのぼって、

up to the shining stars!
輝く星の所までも

あのきらきら光るお星さまの所へまでものぼって行くのです。

Just as we rise from the water/ to see the land of mortals,
丁度私達が水から上がる様に/ 人間の世界を見る為に

ちょうど、わたしたちが、海の上にうき上がって、人間の国をながめるように、

so they rise up to/ unknown beautiful regions/ which we shall never see.’
そして魂は昇る/ 未知の美しい地帯に/ 私達が決して見る事のない」

人間のたましいは、わたしたちにとても見られない、知らない神さまのお国へうかび上がっていくのです。」

regions (明確な限界のない広大な)地方,地域; 地帯

‘Why have we no immortal souls?’
「なぜ私達には死なない魂がないの?」

「なぜ、あたしたち、死なないたましいをさずからなかったの。」

asked the little mermaid sadly.
人魚の姫は悲しげに尋ねた

と、人魚の姫は、かなしそうにいいました。

‘I would give/ all my three hundred years
私はあげたいと思う/ 私の三百年全てを

「あたし、なん百年の寿命なんてみんなやってしまってもいいわ。

to be a human being for one day,
1日でも人間になれるならば

そのかわり、たった一日でも人間になれて、

and afterwards/ to have a share in/ the heavenly kingdom.’
そしてその後/ 入れてもらえるならば/ 天国に」

死んだあとで、その天国とやらの世界へのぼるしあわせをわけてもらえるならね。」

share in 分け前,取り分

‘You must not be thinking about that,’/ said the grandmother;
「そんな事考えるものではないよ」/ 祖母は言った

「まあ、そんなことをおもうものではないよ。」と、おばあさまはおっしゃいました。

‘we are much better off and happier/ than human beings.’
私達はずっと豊かで幸せです/ 人間よりも

「わたしたちは、あの上の世界の人間なんかより、ずっとしあわせだし、ずっといいものなのだからね。」

‘Then I shall have to die/ and to float/ as foam on the water,
そしたら私は死なねばならない/ そして浮かねば/ 水面に泡として

「でも、あたし、やはり死んであわになって、海の上にういて、

and never hear the music of the waves
そして波の音楽も聞けない

もう波の音楽もきかれないし、

or see the beautiful flowers
それに美しい花も見れない

もうきれいな花もみられないし、

or the red sun!
それに赤い太陽も

赤いお日さまもみられなくなるのですもの。

Is there nothing/ I can do/ to gain an immortal soul?’
何かありませんか?/ 私に出来る事が/ 死なない魂を得る為に」

どうにかして、ながいいのちのたましいを、さずかるくふうってないものかしら。」

‘No,’ said the grandmother;
「ありません」と祖母は言った

「それはあるまいよ。」と、おばあさまはいいました。

‘only if a human being so loved you
「ただ、もし人間がお前をとても愛し

「だがね、こういうことはあるそうだよ。ここにひとり人間があってね、あなたひとりが好きになる。

that you were more to him/ than father or mother,
お前を彼がより愛するならば/ 父や母よりも

そう、その人間にとっては、あなたというものが、おとうさまやおかあさまよりもいいものになるのだね。
if all his thoughts and all his love were/ so centred in you
もし彼の全ての思いと愛が/ お前で占めるならば

そうして、それこそありったけのまごころとなさけで、あなたひとりのことをおもってくれる。

centre 中心におく, 中央におく

that he would let the priest/ join your hands
彼は司祭にさせる/ お前の手を繋がせ

そこで、司祭さまが来て、その人間の右の手をあなたの右の手にのせて、

and would vow to be faithful/ to you here,/ and to all eternity;
そして忠誠を誓う事を/ あなたにこの世での/ そして永遠にわたって

この世も、ながいながいのちの世もかわらない、かたい約束を立てさせる。

vow 誓って約束する,誓う

then your body would become/ infused with his soul.
そうするとお前の体はなる/ 人間の魂を吹き込まれた状態に

そうなると、その人間のたましいがあなたのからだのなかにながれこんで、

infuse〔人・心に〕吹き込む

Thus, and only thus,/ could you gain a share in/ the felicity of mankind.
かくして唯一このようにして/ お前は分かち得られる/ 人間の至福の幸福を

その人間のしあわせを分けてもらえることになる。

thus このように, かように
gain 得る
felicity 非常な幸福, 至福

He would give you a soul/ while yet keeping his own.
彼はお前に魂を与えられる/ まだ自分のものを持っていても

しかも、その人間はあなたにたましいを分けても、じぶんのたましいはやはりなくさずにもっているというのさ。

But that can never happen!
だがそれは決して起こらないよ!

だが、そんなことはけっしてありっこないよ。

That which is your greatest beauty/ in the sea,/ your fish’s tail,
それはお前の最も美しいもの/ 海の中で/ お前の魚の尻尾は

だって、この海のそこの世界でなによりうつくしいものにしているおさかなのしっぽを、

is thought hideous/ up on earth,
ひどく醜いものと思われている/ 地上では

地の上ではみにくいものにしているというのだもの。

hideous ひどく醜い; 見るも恐ろしい,ぞっとする

so little/ do they understand about it;
そればかりか/ 彼らはそれが分からない

それだけのよしあしすら、むこうはわからないものだから、

so little そればかりか

to be pretty there/ you must have/ two clumsy supports/ which they call legs!’
そこで見栄え良くなる為には/ お前は持たねばならない/ 2本のぎこちない支えを/ 彼らが足と呼ぶ」

むりに二本、ぶきような、つっかい棒みたいなものを、かわりにつかって、それに足という名をつけて、それでいいつもりでいるのだよ。」

clumsy 不器用な, 下手な, ぎこちない
support 支えとなるもの,支柱,土台

Then the little mermaid sighed and
それで人魚の姫はため息をつき

そういわれて、人魚の姫も、いまさらため息しながら、

sigh ため息をつく

looked sadly/ at her fish’s tail.
悲しげに見た/ 自分の魚の尻尾を

じぶんのおさかなの尾にいじらしくながめ入りました。