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「人魚姫」日本語音声対訳 07 王子への切ない想い

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いったいに、いつもものしずかな、ふかくおもい込むたちの姫でしたけれど、
Always silent and thoughtful,
いつも静かで考え深い

これからは、それがよけいひどくなりました。
she became more so now/ than ever.
彼女は今やもっとそうなった/ これまでよりも

おねえさまたちは、この妹が、海の上ではじめてみて来たものがなんであったか、たずねましたが、
Her sisters often asked her/ what she had seen/ on her first visit to the surface,
姉達はしばしば尋ねた/ 何を見たかを/ 最初の訪れで/ 海上への

少しもその話はしませんでした。
but she never would tell them anything.
けれど何も話さなかった

晩に朝に、いくたびとなく、
Many an evening and many a morning
多くの晩と多くの朝

この姫は、王子をおいて来た浜ちかく上がっていってみました。
she would rise to the place/ where she had left the prince.
彼女は上がってみた/ 王子と別れた場所に

園のくだものが実のって、やがてもがれるのもみました。
she saw the fruit in the garden ripen,/ and then gathered,
果物が庭で熟するのを見た/ そして摘み集められるのを

ripen 熟する,うれる,実る
gather〈花・果実などを〉摘み集める

山山のいただきに、雪の消えるのもみました。
she saw the snow melt on the mountain-tops,
山頂の雪が溶けるのを見た

けれども、姫は、もう王子のすがたをみることはありませんでした。
but she never saw the prince,
けれど王子を見る事はなかった

そうして、そのたんびに、いつもよけいせつないおもいでかえって来ました。
so she always went home/ still sadder than before.
それで彼女はいつも家に帰った/ 前よりもっと悲しくなって

こうなると、ただひとつのたのしみは、
At home her only consolation was
家での唯一の慰めは

consolation 慰め,気休め

れいのちいさな花壇のなかで、
to sit in her little garden
彼女の小さな花壇に座る事だった

うつくしい王子に似た大理石の像に、両腕をかけることでした。
with her arms twined round/ the handsome marble statue/ which reminded her of the prince.
腕に抱いて/ 素敵な大理石の像を/ 王子を思い出させる

twined round からませる,巻きつける

けれども花壇の花にはもうかまわなくなりました。
It was all in gloomy shade now,/ as she had ceased/ to tend her flowers,
今や全体が暗い陰となった/ 彼女が止めたので/ 花を手入れするのを

gloomy 陰気な, 陰うつな
shade 陰, 日陰
tend 手入れする

それは、路のうえまで茂りほうだいしげって、
and the garden had become/ a neglected wilderness
そして庭はなった/ 放置された荒れ地に

neglect 怠る,おろそかにする,顧みない
wilderness 荒れ地, 荒れ野

そのながくのびたじくや葉を、あたりの木の枝に、所かまわずからみつけました
of long stalks and leaves/ entangled with the branches of the tree
長い茎と葉によって/ 木の枝と絡んだ

stalk 茎, 軸
entangle からませる

★カット
そこらはどこも、おぐらくなっていました。
so that the whole place became dark and gloomy.
それで全体は暗く陰鬱になった

とうとう、いつまでもこうしているのが、姫にはたえられなくなりました。
At last she could not bear it/ any longer
ついに彼女は我慢出来なくなった/ これ以上

any longer もはや, これ以上

それで、ひとりのおねえさまにうちあけますと、
so she told one of her sisters,
それで彼女は姉妹の1人に話した

やがて、ほかのおねえさまたちの耳にもはいりました。
and from her/ it soon spread to the others,
すると彼女から/ 他の姉達にも直ぐに伝わった

spread〈報道・うわさを〉流布する

そして、そのほかに二人の人魚たちにも知れわたりました。
but to no one else/ except to one or two other mermaids/ who only told their dearest friends.
でも他は誰にも伝わらなかった/ 1人か2人の人魚以外は/ 彼らは親友に話しただけだった

dearest 最愛の

そのお友だちのうちに、ひとり、王子を知っているむすめがありました。
One of these knew/ all about the prince;
その内の1人は知っていた/ 王子についての全てを

彼女はあの晩、船の上でお祝のあったこともみていました。
she had also seen/ the festivities on the ship;
彼女も見ていた/ 船上での祝宴を

festivity 祝いの催しごと; お祭り騒ぎ

そのむすめは、王子がどこから来たひとで、その王国がどこにあるかということまで知っていました。
she knew/ where he came from and/ where his kingdom was situated.
彼女は知っていた/ 王子がどこから来て/ どこに彼の王国があるかを

situate 置く; 据える; 位置させる

「さあ、いってみましょうよ。」と、おねえさまたちは、いちばん下のちいさい妹をさそいました。
‘Come, little sister!’ said the other princesses,
「行きましょう 妹よ!」他の王女達は言った

そうして、おたがい腕を肩にかけて、
and, throwing their arms/ round each other’s shoulders,
そして腕を掛けながら/ 互いの肩のあたりに

ながい列を組んで、海の上にうき上がりました。
they rose from the water/ in a long line,
海上に浮き上がった/ ながい列を組んで

そこは王子の御殿のあるときいた所でした。
just in front of the prince’s palace.
王子の宮殿の真正面に

その御殿は、クリーム色に光をもった石で建てたものでしたが、
It was built of/ light yellow glistening stone,
その宮殿は建てられていた/ 薄い黄色に煌く石で

glisten(ぬれたものなどが光を反射して)きらめく

そこのいくつかある大理石の階段のうち、
with great marble staircases,
大きな大理石の階段もあり

staircase (手すりなどを含む)階段

ひとつはすぐと海へおりるようになっていました。
one of which led into the garden
その1つは庭につながっていた

平屋根の上には、りっぱな円屋根がそびえていました。
Magnificent gilded cupolas/ rose above the roof,
雄大な金箔の円屋根の頂が/ 平屋根の上にそびえていた

magnificent 壮大な, 雄大な, 豪華な
gild 金めっきする
cupola 丸屋根の頂塔

建物のぐるりをかこむ円柱のあいだに、
and the spaces between the columns/ which encircled the building were
そして円柱の間は/ 建物を取り囲んでいる

column【建築】柱,円柱
encircle (取り)囲む

いくつもいくつも大理石の像が、生きた人のようにならんでいました。
filled with life-like marble statues.
生きているような大理石の像が占めていた

life-like 生きているような

たかい窓にはめ込んだあかるいガラスをすかすと、
Through the clear glass/ of the lofty windows
透明なガラスを通して/ 高い窓の

なかのりっぱな広間がみえました。
you could see gorgeous halls
豪華な広間が見れます

その広間の壁には、高価な絹のとばりや壁かけがかかっていました。
adorned with costly silken hangings,
高価な絹の吊るしで飾られた

adorn with 飾る,装飾する
costly 高価な, 金のかかる
silken 絹(製)の
hangings かけ布, 壁掛け;壁かけ

壁という壁は、名作の画でかざられていて、みるひとの目をたのしませました。
and the pictures on the walls were/ a sight worth seeing.
そして壁の絵は/ 見る価値のある眺めだった

sight 光景,風景,眺め

こういう広間のいくつかあるなかの、いちばんの大広間のまんなかに、
In the midst of the central hall
中央広間の真ん中で

大きな噴水がふきだしていて、
a large fountain played,
大きな噴水が水を噴き出していた

fountain 噴水
play 水を噴出する

そのしぶきは、ガラスの円天井まで上がっていましたが、
throwing its jets of spray/ upwards to a glass dome in the roof,
そのしぶきは噴射していた/ 屋根のガラスの円天井に向かって

jet 噴射,射出
spray しぶき, 水煙
upwards to 上向きに

その天井からは、お日さまがさしこんで、
through which the sunbeams
その天井からは太陽の光が

噴水の水と大水盤のなかにういている、うつくしい水草の上にきらきらしていました。
lighted up the water and the beautiful plants/ which grew in the great basin.
水と美しい植物を照らした/ 大きな水盤で育った

basin 鉢, 洗面器, 水盤

こうして王子のすみかがわかると、
She knew now/ where he lived,
今や彼女は分かった/ どこに王子が住んでいるか

それからは、もう夕方から夜にかけて、毎晩のように、そこの水の上に、妹の姫はでてみました。
and often used to go there/ in the evenings and by night/ over the water.
それでしばしばそこに行った/ 夕方から夜にかけて/ 水の上の

by night 夜間

もうほかの人魚たちのいきえない丘ちかくの所までも、およいでいきました。
She swam much nearer the land/ than any of the others dared;
彼女は丘により近くまで泳いだ/ 他の者が試みるよりも

dare 冒険的に試みる

ついには、せまい水道のなかにまでくぐって、そのながい影を水の上に投げている大理石の露台の下までもいってみました。
she even ventured right up the narrow channel/ under the splendid marble terrace/ which threw a long shadow over the water.
彼女は狭い水路のすぐ上までも行ってみた/ 見事な大理石のテラスの下の/ 水の上に長い影を投げた

venture 思い切って〔…を〕試みる
narrow (長さに比べて幅の)狭い, 細い
channel 水路
terrace 石やれんがなどを敷きつめて造った平らな床面

そこにじいっといて、
She used to sit here
彼女はよくここに座っていて

used to do …するのが常であった

みあげると、わかい王子が、じぶんひとりいるつもりで、あかるいお月さまの光のなかに立っていました。
looking at the young prince,/ who thought he was quite alone/ in the clear moonlight.
若い王子を見ていた/ 自分一人だと思っていた/ 明るい月夜に

夕方、たびたび、王子はうつくしいヨットに帆をはって、音楽をのせて、風に旗を吹きなびかせながら、海の上を走らせるところを、姫は見ました。
She saw him many an evening/ sailing about in his beautiful boat,/ with flags waving and/ music playing;
彼女は多くの晩王子を見た/ 素敵なボートで航海してるのを/ 旗をなびかせ/ 音楽を奏でながら

姫は、それを青青としげったあしの葉のあいだからすきみしました。
she used to peep/ through the green rushes,
彼女はよく覗いた/ 緑の葦の隙間から

すると風が来て、姫の銀いろしたながいヴェールをひらひらさせました。
and if the wind happened to/ catch her long silvery veil
それで風が当たるならば/ 彼女の長い銀のベールに

たまにそれを見たものは、
and any one saw it,
そして誰かがそれを見れば

はくちょうがつばさをひろげたのだとおもいました。
they only thought/ it was a swan flapping its wings.
彼らは単に思った/ それは白鳥が羽ばたいたのだと

flap 〈鳥が〉〈翼を〉羽ばたく

夜な夜な、船にかがりをたいて、りょうに出るりょうしたちからも、姫はたびたび、わかい王子のいいうわさをききました。
Many a night/ she heard the fishermen,/ who were fishing by torchlight,/ talking over the good deeds of the young prince;
多くの夜/ 彼女は漁師の噂を聞いた/ かがり火で漁をしている/ 良い行ないについて話している/ 若い王子の

fishermen 漁民
torchlight たいまつの明かり
deed 行為, 行動, 功業

そうして、そんなにもほめものになっているひとが波の上に死にかけてただよっているところを、じぶんがすくったのだとおもってうれしくなりました。
and she was happy to think/ that she had saved his life/ when he was drifting about on the waves,/ half dead,
そして彼女は思う事が嬉しかった/ 自分が王子の命を救ったのだと/ 彼が波の上を漂っていた時/ 死にかけて

それから、あのとき、あの方のおつむりは、なんておだやかにあたしの胸のうえにのっていたことかしら、
and she could not forget/ how closely his head had pressed/ her breast,
そして彼女は忘れる事が出来なかった/ どれほど密接に彼の頭が触れたのかを/ 自分の胸に

closely 密接に;親密に
press 抱き寄せる

それをあたしはどんなに心をこめて、ほおずりしてあげたことかしらとおもっていました。
and how passionately she had kissed him;
そしてどれほど熱烈に彼にキスしたのかを

passionately 情熱的に[をこめて], 熱烈に

そのくせ、王子のほうでは、むろんそういうことをまるで知りませんでした。
but he knew nothing of all this,
でも彼はこれら全て何も知らなかった

つい、夢にすらみてはくれないのです。
and never saw her/ even in his dreams.
そして彼女を見なかった/ 夢の中でさえ