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「人魚姫」日本語音声対訳 03 姉たちの報告

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さて、いちばん上の姫は、十五になりました。
The eldest princess had now reached/ her fifteenth birthday,
最年長の姫は今達した/ 十五回目の誕生日に

いよいよ、海の上に出られることになりました。
and was to venture/ above the water.
そして冒険する事になっていた/ 水の上を

be to do ~する予定である
venture 冒険する

このおねえさまがかえって来ると、山ほどもおみやげの話がありましたが、
When she came back/ she had hundreds of things/ to tell them,
彼女が戻って来た時/ 何百もの事柄を持っていた/ 話す為の

でも、なかでいちばんよかったのは、
but the most delightful of all,
でも一番その中で感動したのは

波のしずかな遠浅の海に横になりながら、
she said,/ was to lie in the moonlight,/ on a sandbank in a calm sea,
彼女は言った/ 月光の下で横たわった事だと/ 穏やかな遠浅の海で

sandbank (河口などの)砂州(さす)

すぐそばの海ぞいの大きな町をみていたことであったといいます。
and to gaze at the large town/ close to the shore,
そして大きな町を見つめた事だと/ 岸に近い

gaze (熱心にじっと)見つめる, 熟視する
shore 岸, 海岸

そこでは、町のあかりが、なん百とない星の光のようにかがやいていましたし、
where the lights twinkled/ like hundreds of stars;
そこでは明りがきらめいた/ なん百もの星の様に

twinkle ぴかぴか[きらきら]光る

音楽もきこえるし、
to listen to music
音楽が耳に入る

車や人の通るとよめきも耳にはいりました。
and the noise and bustle of/ carriages and people,
そして騒音とにぎわい/ 乗り物と人々の

carriage 乗り物,車
bustle of ざわめき,にぎわい

教会のまるい塔と、とがった塔のならんでいるのが見えたし、
to see the many church towers and spires,
多くの教会の塔ととがり屋根を見える

spire 尖塔(せんとう), とがり屋根

そこから、鐘の音もきこえて来ました。
and to hear the bells ringing;
そしてベルが鳴っているのが聞こえる

でも、そこへ上がっていくことはできませんから、
and just because she could not go on shore
それで彼女は岸に上がれなかったから

ただなにくれと、そういうものへのあこがれで、胸をいっぱいにしてかえって来たということでした。
she longed for that most of all.
彼女はこの上なくそれらに憧れた

long for 憧れる
most of all こよなく, この上なく, この上もなく

まあ、いちばん下の姫は、この話をどんなに夢中できいたことでしょう。
Oh, how eagerly the youngest sister listened!
ああ、なんて熱心に末の妹は聞いた事でしょう

eagerly 熱心に,しきりに,切に

それからというもの、あいた窓ぎわに立って、くらい色の水をすかして上を仰ぐたびに、
and when, later in the evening she stood at the open window and looked up through the dark blue water,
そして夕暮れ以降/ 彼女は開いた窓の所に立った/ そして見上げた/ 暗い藍色の水を通して

この姫は、いろいろの物音ととよめきのする、その大きな町のことをかんがえました。
she thought of the big town/ with all its noise and bustle,
彼女はその大きな町の事を考えた/ 雑音とざわめきのする全てを

するうち、そこの教会の鐘の音が、つい海の底までも、ひびいてくるようにおもいました。
and fancied that she could even hear/ the church bells ringing.
そして聞こえて来るとさえ思った/ 教会の鐘が鳴っているのを

fancy that (何となく)〈…だと〉思う

そのあくる年、
The year after,
翌年

二ばんめのおねえさまが、海の上へあがって行って、好きな所へおよいでいっていい、おゆるしがでました。
the second sister was allowed/ to mount up through the water/ and swim about/ wherever she liked.
2番目の姉は許された/ 水の中を上がって/ 泳ぎ回る事を/ どこでも好きな所へ

mount〔…に〕上る,登る
swim about 泳ぎ回る

このおねえさまが、浮き上がると、そのときちょうどお日さまが沈みましたが、
The sun was just going down/ when she reached the surface,
太陽はちょうど沈んだ/ 彼女が水面に着いた時

これこそいちばんうつくしいとおもったものでした。
the most beautiful sight,/ she thought,/ that she had ever seen.
最も美しい光景/ だと彼女は思った/ これまで見た中で

大空がいちめん金をちらしたようにみえて、
The whole sky had looked like gold,
空全体が金の様に見えた

その光をうつした雲のきれいだったこと、とてもそれを書きあらわすことばはないといいました。
she said,/ and as for the clouds!/ well, their beauty was beyond description;
彼女は言った/ 雲に至っては/ まあ、それらの美しさは言い尽くせない

as for 〜至っては
beyond description 言い尽くせない(ほど)

くれないに、またむらさきに、それがあたまの上をすうすう通ってながれていきました。
they floated/ in red and violet splendour/ over her head,
それらは空中を漂った/ 赤くすみれ色の輝きで/ 彼女の頭上を

float (水上・空中を)浮動する,漂う
splendour 輝き,光輝,光彩

けれども、その雲よりももっとはやく、
and, far faster than they went,
そしてその流れよりも速く

far ずっと

野のはくちょうのむれが、それはながい、白いうすものが空にただようように、しずんで行く夕日を追って、波の上をとんでいきました。
a flock of wild swans flew/ like a long white veil over the water/ towards the setting sun;
野生の白鳥の群れは飛んだ/ 長い白いベールの様に/ 水上を/ 沈む夕日に向かって

flock 群れ
veil 仕切り,垂れ幕

このおねえさまも、これについてまけずにおよいでいきましたが、
she swam towards it,
彼女はそれに向かって泳いだ

そのうち、お日さまはまったくしずんで、
but it sank
だが日は沈み

ばら色の光は、海の上からも、雲の上からも消えていきました。
and all the rosy light/ on clouds and water/ faded away.
そして全てのバラ色の光は/ 雲と水に掛かった/ 消えて行った

rosy ばら色の,淡紅色の
fade 次第に消えて[薄れて]いく

また次の年には、
The year after, that
翌年

follow (時間・順序として)〈…の〉次にくる

三ばんめのおねえさまが上がっていきました。
the third sister went up,
3番目の姉が上った

このおねえさまは、だれよりもむこうみずな子でしたから、
and, being much the most venturesome/ of them all,
それで、最も大胆な存在/ 彼ら全員の中で

venturesome 冒険好きな, 大胆な, 向こう見ずな

大きな川が海にながれだしている、そこの川口をさかのぼっておよいでいってみました。
swam up a broad river/ which ran into the sea.
幅広い川を泳いで行った/ 海に注ぐ

broad 幅の広い,広々とした

そこにはぶどうのつるにおおわれたうつくしいみどりの丘がみえました。
She saw/ beautiful green, vine-clad hills;
彼女は見た/ 美しい緑のつるに覆われた丘を

vine ブドウ,つる;(つる植物の)茎
clothe 着た; おおわれた

むかしのお城や荘園が、みごとに茂った森のなかからちらちらしていました。
palaces and country seats/ peeping through splendid woods.
宮殿と田舎の邸宅を/ 見事な森からのぞいている

seat (貴族のいなかの)邸宅[屋敷].
peep のぞき見する,のぞく

いろんな鳥のうたいかわす声も聞きました。
She heard the birds singing,
鳥が歌っているのを聞いた

するうちお日さまが、照りつけて来たので、
and the sun was so hot
そして太陽はとても熱かった

ほてった顔をひやすために、たびたび水にもぐらなくてはなりませんでした。
that she was often obliged to dive,/ to cool her burning face.
それで彼女は時々水に飛び込まざるを得なかった/ 焼ける顔を冷やす為に

be obliged to ~せざる得ない

水がよどんでちいさな入江になった所で、
In a tiny bay
小さな入り江で

かわいい人間のこどもたちのかたまって、あそんでいるのに出あいました。
she found a troop of/ little children running
彼女は群れを見つけた/ 小さな子供たちが走っている

troop of 群れ, 隊, 組, 団

まるはだかで、かけまわって、ぼちゃぼちゃ水をはねかしました。
about naked and paddling in the water;
殆ど裸で水遊びをしている

about ほとんど,ほぼ
naked 裸の,裸体の
paddle 浅瀬の中をはね回る; 水遊びをする

いっしょにあそぼうとすると、
she wanted to play with them,
彼女は彼らと遊びたかった

みんなおどろいて逃げていってしまいました。
but they were frightened and ran away.
でも彼らは脅えて逃げた

frighten 怖がらせる,ぎょっとさせる

するとそこへ、ちいさな、まっ黒な動物がでて来ました。
Then a little black animal came up;
すると小さな黒い動物がやって来た

これは犬でしたが、
it was a dog,
それは犬だった

犬なんて、みたことはなかったし、
but she had never seen one before;
でも彼女は犬を見た事がなかった

いきなり、はげしくほえかかって来たので、
it barked so furiously at her
犬は猛烈に彼女に吠えたので

furiously 猛烈に,激しく

こわくなって、
that she was frightened
彼女は怖くなった

またひろい海へおよいでもどりました。
and made for the open sea.
それで広い海へ向かった

make for 向う;赴く
open sea 外洋,外海,公海

でも、あのうつくしい森もみどりの丘も、それから、おさかなのしっぽももっていないくせに、水におよげるかわいらしいこどもたちのことをも、この姫は、いつまでもわすれることができませんでした。
She could never forget/ the beautiful woods, the green hills/ and the lovely children/ who could swim in the water/ although they had no fishes’ tails.
彼女は決して忘れなかった/ 美しい木や緑の丘や/ 可愛い子供達を/ 水中で泳ぐことが出来た/ 魚の尾がなくても

although …であるが, …だけれども, とはいえ

さて、四ばんめのおねえさまは、それほどむこうみずではありませんでしたから、
The fourth sister was not so brave;
4番目の姉はそれほど大胆ではなかった

そこで、ひろい大海のまんなかに居ずくまったままでしたが、
she stayed in the remotest part of the ocean,
彼女は一番遠い海の場所に留まった

remote 遠い,遠方の

でもそこがどこよりもいちばんうつくしかったと話しました。
and, according to her account,/ that was the most beautiful spot.
そして彼女の話によれば/ そこが一番美しい所だった

according to …によれば
account (順を追ってする詳しい)話,評価,考慮

もうぐるりいちめん、なんマイルと先の知れないとおくまで見はらせて、
You could see for/ miles and miles around you,
あなた方は見渡せる/ 何マイルもあなた方の周りを

あたまの上の青空は、とほうもなく大きなガラス鐘のようなものでした。
and the sky above was/ like a great glass dome.
そして上空は/ 巨大なガラスの丸天井みたいだった

船というものもみました。
She had seen ships,
彼女は船を見た

でも、それはただ遠くにはなれていて、
but only far away,
でも遠く離れてるだけ

まるでかもめのようにみえていました。
so that they looked like sea-gulls.
そのためカモメのように見えた

それからおどけもののいるかが、とんぼがえりしたり、
There were grotesque dolphins/ turning somersaults,
滑稽なイルカがいた/ とんぼ返りしてる

grotesque 奇妙な,こっけいな
somersault とんぼ返り, 宙返り

大きなくじらが鼻のあなから、しおをふきだして、
and gigantic whales squirting water/ through their nostrils
そして水を噴きだしてる巨大なクジラ/ 鼻の穴から

gigantic 巨大な, ぼう大な
squirt 噴出させる, ほとばしらせる
nostril 鼻の穴, 鼻孔

そのへんいちめんに、なん百とない噴水がふきだしたようでした。
like hundreds of fountains/ on every side.
何百もの噴水の様に/ あたり一面

fountain 噴水

こんどは、五ばんめのおねえさまの番になりました。
Now the fifth sister’s turn came.
次に5番目の姉の番が来た

occur 起こる,生じる,発生する

この姫は、おたん生日が、ちょうど冬のあいだでしたので、
Her birthday fell in the winter,
彼女の誕生日は冬に来た

fall〈時節などが〉来る

ほかのおねえさまたちのみなかったものをみました。
so that she saw sights/ that the others had not seen/ on their first trips.
それで彼女は光景を見た/ 他の者が見なかったものを/ 最初の旅で

海はふかいみどり色をたたえて、
The sea looked quite green,
海は濃い緑だった

quite 濃い

その上に、氷の山がまわりをとりまいて浮いていました。
and large icebergs were/ floating about,
そして大きな氷山が/ あたりに浮いていた

iceberg 氷山

そのひとつひとつがまるで真珠のようでしたが、
each one of which looked like a pearl,
それぞれが見えた/ 真珠のように

それも人間の建てた教会の塔よりもずっと高いものだったといいました。
she said,/ but was much bigger/ than the church towers built by men.
彼女は言った/ でもずっと大きかったと/ 人が建てた教会の塔よりも

lofty〈山など〉非常に高い,そびえ立つ

それがまたきみょうともふしぎともいいようのないかたちをして、
They took the most wonderful shapes,
それらはとても素敵な形をしていた

shape 形, 形状, かっこう

どれもダイヤモンドのようにかがやいていました。
and sparkled like diamonds.
そしてダイヤモンドの様にきらめいていた

sparkle きらめく,きらきら光る

このおねえさまは、そのなかのいちばん大きい山に腰をかけて、
She had seated herself/ on one of the largest,
彼女は座っていた/ 一番大きな物の上に

そのながい髪の毛を風のなぶるままにさせていますと、そのまわりに寄って来た帆船の船頭はみんなおどろいて、船をかえしました。
and all the passing ships/ sheered off in alarm/ when they saw her sitting there/ with her long hair streaming/ loose in the wind.
そして航海する船は/ 驚いて向きを変えた/ 彼女がそこに座っているのを見た時/ 長い髪を自由になびかせている/ 風の中で

sheer off 急に向きを変える
in alarm 驚いて
stream 〈髪などが〉ふさふさと垂れる,なびく
loose 放たれた, 自由な

でも、夕方になると空は雲でつつまれて、
In the evening/ the sky became overcast with dark clouds;
夕暮れ時/ 空は暗雲が立ち込めた

overcast〈空が〉曇った

かみなりが鳴ったり、いなづまが走ったり、
it thundered and lightened,
雷が轟き稲妻が光った

thunder [it を主語として] 雷が鳴る
lighten [it を主語として] 稲妻が光る

まっ黒な波が大きな氷の山を高くつき上げて、いなづまのつよい光にあてました。
and the huge icebergs glittering in the bright lightning, were lifted high into the air by the black waves.
そして巨大な氷山は/ 稲妻の閃光できらめき/ 空中に持ち上げられた/ 真っ黒な波で

huge 巨大な, 莫大な
glitter ぴかぴか光る

のこらずの船が帆をおろして、
All the ships shortened sail,
全ての船は帆を絞った

shorten〈帆を〉絞る
sail (船の)帆

そこには、おそれとおののきとがたかまっていました。
and there was fear and trembling/ on every side,
そして恐れとおののきが立ち込めた/ 四方に

trembling 震えること,おののき

けれども、人魚のむすめは、へいきで、ちかちか光る氷の山の上に腰をのせたまま、
but she sat quietly/ on her floating iceberg
だが彼女は平然と座っていた/ 漂う氷山の上に

かがやく海の上に、いなづま形に射かける稲光の青い色をながめていました。
watching the blue lightning flash/ in zigzags down/ on to the shining sea.
青い稲妻の閃光を眺めながら/ ジグザグに落ちる/ 輝く海に

lightning flash 電光閃光; 雷閃光
in zigzag ジグザグに